松原剣道・剣友会


団員の作文

団員の作文

感謝
― 小学5年 小田 海登 ―(平成27年度全日本剣道道場連盟主催 作文体験発表)
埼玉県予選 準優勝

ぼくは年長の時に、松原剣道に入団しました。身体の小さかったぼくは、たんさんの先生や友達、先輩と一緒に竹刀をふれることがとても楽しくて、けいこに行くのがとても楽しみでした。やがて高学年になり試合にでるきかいが増えてきましたが、もともと運動が苦手なぼくはあまり勝つことができなくなり、やがて選手として試合に出ることもあまりできなくなってしまいました。そんなことが続き、やがてけいこに行くのが辛くなって、母に辞めたいと言いました。しばらく話をしていると、祖母がじーっとぼくのことを見てとても悲しそうな顔をしていました。祖母はぼくが小さいころに脳の病気で倒れ、今は自分で起きたり、歩いたりすることもできないし、話をすることさえできません。ご飯を食べることもできません。ただもう長く一緒に暮らしているので、顔を見ると悲しいとか、痛いとか、笑っていてうれしそうだとか、そんなことが分かるようになりました。ぼくが楽しそうにしていると、にっこり笑ってくれることもあります。きっとぼくが今までがんばってきたことを辞めると聞いて、祖母が悲しくなったことにぼくは気づきはっとしました。

ぼくの記憶にはないけれどぼくが生まれた時、祖母はとても喜んでくれてよくベビーカーに乗せてくれてお散歩に連れて行ってくれたそうです。今は、母が車いすを押して祖母の散歩について行くぐらいしかしてないけれど、きっとぼくの事を心配してくれたんだなと思いました。それでもぼくは、しばらくけいこに行けないでいると、先生や友達がたくさんはげましてくれました。ぼくは本当にうれしくて泣いてしまいました。これから剣道を続けていくことは今まで以上に辛いことや大変な事がたくさんあるかもしれません。でも何もできなかったぼくをここまで心配してくれる人がいるなんて、考えてもなかったし、自分の事ばかり考えていた自分はなんてバカなんだろうと思いました。

人間はどんなにえらかったり、お金持ちでも決して自分一人で生きている人はいないと思います。必ずだれかに助けてもらったり、助けたりして生きているのだと思います。今のぼくは、いつもいつも助けてもらうばかりだけど少しでも人を助ける立場になり、恩返しができなくてはいけないのだと思います。そのために今、ぼくができることは周りの人みんなに今までしてもらった事を感謝するこだと思います。どんな時も「ありがとうございます」という言葉を口に出さなければ自分の気持ちは相手に伝わりません。そしてみんなより弱くて遅いかもしれないけれど、これからも剣道を続けて少しずつでも強くなっていくことが、ぼくが今できることだと思います。

今日よりも明日の自分が少しでも心も体も強くなれるようにがんばっていきたいと思います。そして何より祖母をたくさん笑顔にしたいと思います。