松原剣道・剣友会


団員の作文

団員の作文

稽古の大切さ
― 6年 近藤 愛 ―(平成26年度全日本剣道道場連盟主催 作文体験発表)
埼玉県大会 敢闘賞

私は五才の時に三つ上の兄と一緒に剣道を始めました。最初のうちは、兄と楽しく素振りをし、先生も優しくしてくれました。防具をつけて稽古ができるようになると先生は厳しくなり、声が出ていなかったり、やる気が感じられない時はふっとばされたりしました。しかし、私はこんな稽古はいやだと剣道を辞めたいとは思いませんでした。

六年生になると毎週のように試合があり、道場のみんなと出かける遠征は楽しく感じていました。試合では相手が自分より大きな子でも、男の子でもこわいと思ったことはありませんでした。勝てばうれしかったし、負けてもあまり悔しいと思ったことはあまりありませんでした。しかし、だんだん得意な面もきまらなくなり、試合で負けることが続いてきて今まで知らなかった怖さを感じるようになってきたのです。そして私は今までよりも先生に注意されるようになってしまいました。言われた所はなおそうと自分なりに努力しましたがいつになってもできないままでした。「どうして?なおそうとやっているのに。」私はモヤモヤした気持ちのまま稽古を続けていました。

今年の夏休みに私は吉見のリーダー研修会に参加しました。リーダー研修会には埼玉県内の道場からたくさんの子が集まります。試合でも勝ち進まなければ戦えないような強い子と一緒に稽古ができるので、私は行く前からあることを決めて参加しました。それは全国大会に出るような子達はどんな稽古をしているのかを見て、それを自分の稽古にどう生かせるかを考えてみようと思っていました。それは、稽古を始めてすぐ分かりました。そういう人たちは常に真剣で、試合の時のような気迫を持って稽古をしていることに気が付きました。自分に何が足りないのか少しだけ分かった気がしました。

夏休みが終わり、稽古が再開して私は稽古でも試合の時のような気持ちで稽古をするように心がけました。いつでも同じ気持ちで剣を振ることが平常心だと思ったのです。しかし、その考え方はちがうのではないかと兄に言われました。小学六年の時に兄が書いた作文の中に「平常心でいるためには苦しくても楽をしてはいけない、心をきたえてこそ平常心でいられるのではないか」と書いてありました。私の今の気持ちのままで稽古をしても強くなれないと思いました。そこで私は、目標を決めました。一つ目は言いわけをしないということです。時々母に「だってと、でもを使うのをやめなさい。」と言われます。先生に注意されたことが出来ない時、やりたくない時など、「だって」と「でも」を使って逃げていたからです。そしてもう一つ、大きな声で返事をする、です。私はよく先生に声が小さいと注意されます。大きな声で返事をするためには、いつでもしっかり先生の話を聞いて、真剣に稽古をしていなければなりません。大きな声を出すとお腹に力が入り、強い打ちが出来ると思ったからです。私は剣道を始めてまだたったの七年です。来年の春からは中学生です。そして十年、二十年と剣道を続けるかもしれません。その時に今よりももっと苦しいことがあるかもしれません。これからは、目の前の困難から逃げ出さず一生懸命稽古にはげんでいきたいと思います。