松原剣道・剣友会


団員の作文

団員の作文

基本の大切さ
― 松村 玲央 ―(平成21年度全日本剣道道場連盟主催 作文体験発表)

僕は、五年生のとき武道に興味をもち、剣道を始めました。剣道とはどんなことをするのだろうと、わくわくした気持ちでいました。

まず、先生が教えてくださったことは、竹刀の扱い方でした。剣道はただのたたきあいではなく、真剣を使った真剣勝負だとおっしゃっていました。竹刀を粗末に扱う人は、どんなに稽古をしても強くはなれないということも教わりました。僕は、うまくなるために竹刀を大切に、点検もしっかりやろうと心に決めました。

剣道でとても大切なことは、礼法です。正面への礼、先生・先輩方への礼、お互いの礼、それぞれ三つの礼の形があります。僕は、こんなにたくさんの礼があることにおどろき、剣道は感謝の心を大切にしているのだなあと思いました。

僕は、遅く始めた分先生の教えを守り、基本を中心に一生懸命稽古をしました。まず、足運びを習いました。簡単に見えた動作でしたが、実際にやってみると竹刀がぶれないように進むことは、とても難しいことでした。

こうした剣道の基本を学んで三カ月、いよいよ防具をつけて稽古が始まりました。いざ、防具をつけて稽古をすると、とても重く、体も思うように動かず、「これで本当にみんなと同じように体が動くのかなあ」と不安な気持ちになりました。でも、稽古を重ねていくうちに防具をつけていても、体が動くようになりました。「これでようやくみんなと試合ができるぞ」と思いました。

僕の通っている道場では、暑中稽古と寒稽古があります。八日間の朝稽古は厳しいものです。特に冬は、星空が見えるころに起き、手や足がかじかむ冷たさの中での稽古です。先生がおっしゃった、「百里の道は九十九里をもって半ばとなす」という言葉は、残りあと一日というところにきても、まだ半分という気持ちで最後まで気をゆるめてはいけないという教えです。この言葉を胸に、仲間と一緒に乗り越えることができました。

剣道を始めて一年もたたない六年生の夏、日本武道館で「全日本少年武道錬成大会」がありました。先生が六年生を中心に出してくれたのです。僕は、この大会に向け、毎日コツコツと家でできる練習を集中して行いました。しかし、先生には、丹田から声を出すように言われたり、振りを大きくしなさいなどと何度も注意され、直すのに苦労しました。それでも、先生に言われたことを忠実に守り、大会に臨みました。

そして試合が始まりました。僕は基本で、三本の旗が上がり、勝ちました。基本で勝ったときは、とてもうれしかったです。稽古の成果が出てよかった、今まで頑張ってきてよかった、と思いました。これも、先生方が、僕たちにたくさんのことを教えてくださったからだと思います。チームとしては負けてしまったけれど、とてもいい経験になって、良かったなと思いました。

僕はこの大会で、剣道の基本の大切さを学びました。剣道は、基本動作がしっかりできていないと試合などでは、成果はでません。これは、剣道だけでなく他のスポーツや勉強、ふだんの生活にも当てはまることです。なので基本は、どんなことをするにもとても大切なことだと思いました。

僕はまだ剣道を始めたばかりです。でもこれから先、稽古を重ねていくうちに勝ちにこだわってしまう剣道になってしまうかもしれません。そんな時、新人のときにやった、剣道の基本を思い出し、自分の中の目標達成を目指し、日々努力をしていれば、「たとえ試合に負けてもいつも堂々としていればいいんだ」という気持ちで、剣道を続けていきたいです。