松原剣道・剣友会


松剣物語

松剣物語

4.全国大会出場

また、お話をひとつ、19日に埼玉県少年剣道練成大会が戸田のスポーツセンターで、県内の剣道道場約40団体が参加して、全日本出場を目指して試合が行われました。この大会は松原剣道スポーツ少年団にとっても最も大切にして いる大会です。子供達の頑張りがあって、今年もまた小学生の部が全国大会に出場することができるようになりました。ところで、今年はひとり大変印象的な子供が選手として出場しました。その子のおはなしです。

彼は小学校の1年生の時に入団しました.お父さんは近所でカーテン等を扱う内装屋さんです。入団して2年目に入る頃のある日、私が道場に行くと彼は道場の入り口でおお泣きをしていました。先生が怖いから剣道を止めたいと言うのです.いくら説得しても動きません.お母さんに、お母さんはどうしたいのですか、と聞くと、私も先生の話に同感です、とのこと。それでは、私に任せてお母さんはお帰りなさい、と言うと、お母さんは「はい」と言って、素直に帰ってしまいました。

お母さんが帰ってしまったのには子供も驚いたようでしたが、それから私は40分間その子供の前に座って話を続けたのです.さすがに私のしつこさには子供も諦めたのか最期に「僕、やる」と言って稽古を始めました.その日の夜にお父さんもかなり厳しく叱ったようです。お父さん曰く、「先生以上に怖いところを見せました」でした。それ以来すっかり変わってしまって、どうしたことか私を大好きになってくれたのです。

ところが、3年生の時にお父さんの仕事の都合で草加から1時間もかかる金町に引っ越すことになってしまいました。そのときには妹や弟も剣道をしていたのですが、二人は止めてしまい結局お兄さんだけが自分の意思で金町から電車で通うことになったのです。松剣は、体育館を借りているために夜は2回しかできません。全国大会に出場するためには2回ではとてもたりません。そこで希望者(選手)には週に1回もしくは2回、5時30分からの早朝練習をしています。

彼は、学校に間に合わないので朝稽古にはあまり参加できません。そこで、自宅の近くの公園で1人で稽古をしているのです。朝稽古の日は、いつも私の家に電話かけてきて、自分でした稽古内容を報告してくれます。そんな彼が今回の大会では大活躍で、彼1人が3試合を全勝しました.全国大会の出場を決めたのは彼の活躍のお陰です。

昨年あたりから自分は将来大きくなったら松剣の先生になって、南先生のお手伝いをするのだ、と言ってはりきっています。今回の大会では、そんな子が活躍してくれて、私もとても嬉しかったのです。