松原剣道・剣友会


団員の作文

団員の作文

泣き虫だったぼく
― 小学5年 高安 里玖 ―(平成27年度全日本剣道道場連盟主催 作文体験発表)

始めたころは、寒稽古が寒くて泣いたし、道場で眠くて泣いたりしました。ぼくはとても泣き虫でした。今振り返るととても情けない事ですが本当にめいわくをかけてよく泣いていました。

ぼくが泣くと、先輩が必ず来てくれてなぐさめてくれました。「泣かないで」とか「終われば楽しい気分になるよ」と励ましてくれました。また、ぼくの手をひいて一緒にランニングをしてくれました。そうすると自然に涙が止まり、練習に入ることができました。それでも僕が泣き止まないときがありました。そのときは師範の先生が静かにぼくの所に来てくれました。不思議なことに先生は怒らずじっとぼくを見て正座しました。そして「今日何があったのかい。」とか「どうしたの」と聞いてくれました。ぼくが自分の気持ちを上手に伝えられなくても先生はじっと待っててくれました。そしてしばらくして先生が稽古に入るかと聞き、ぼくはだまったまま、こくりとうなずきました。いつの間にかみんなの中に入りたいと思い始め、立ち上がることができました。僕はこれを先生マジックと名付けました。ま法にかかったように、剣道をしようという思いが広がって、やらなくてはと思えるのです。ときには立ち上がるまでに四十分かかったときもありました。でも先生はぼくと向き合ってじっと座って待っててくれたのです。

そんな泣き虫だったぼくが変わり始めたきっかけがありました。それは全国大会予選のメンバーに選ばれ、特別稽古がはじまったときです。いろんなことを教えていただき剣道が楽しいと感じました。きつくてつらい時もありましたが、仲間ががんばっているのだから自分も強くなりたいという気持ちがふくらんできました。それからは泣くという言葉が消えました。

全国大会に向けた稽古が終わったころ、思い始めたことがありました。「来年は最高学年。みんなを引っ張る学年になる。」ということでした。今までの主将たちは強くてかっこよかったのです。そして優しかったのです。小さい子をまとめて引っ張る先輩。ぼくもそのような六年生になりたいと思い始めました。仲間をまとめるという初挑戦は夏合宿でした。一日目は小さい子が指示を聞いてくれず困ってしまいました。班長はこんなに大変だと初めて知りました。すると先輩が夜の班長会議で「小さい子を甘えさせてあげるといいよ。」と教えてくれました。次の日からぼくは小さい子と一緒に遊んだり、話を聞いてあげるようにしました。だんだん小さい子がぼくについてきて、指示も聞いてくれました。そして班がまとまっていくのを感じました。まとめる立場には相手に対するやさしさと指示する態度が必要なのだと思いました。

ぼくはもう泣き虫ではありません。心も剣道も強くなると決めたからです。そして来年は最上級生になります。先輩たちは弱い僕に優しくしてくれました。先生はぼくを見守って立ち上がらせてくれました。今度は僕が下の子に優しくし、励ます番です。今まで面倒を見ていただいたことに感謝して、できるだけのことをしたいです。