松原剣道・剣友会


団員の作文

団員の作文

武士道の志で世界中の人達を助けたい
― 6年 丹治友理佳 ―(平成25年度全日本剣道道場連盟主催 作文体験発表)
埼玉県予選 優勝(関東大会出場)

皆さん!突然ですが、皆さんの道場では団旗にどんな言葉が掲げられていますでしょうか。私たちの団では、剣道 範士九段小川忠太郎先生の書いてくださった「平常心」という言葉が掲げられています。この書を頂いてから四十年の月日の間に、五百人を超える剣士たちが、この団のもとで、よい剣道を目指しながら、「平常心」という志を学び 成長してきています。「平常心」という言葉一つでも、それを受け取る人のその時の状況や精神状態で様々なとらえ 方があると思いますが、私たちの団では、「平常心とは、死に直面した時でさえ、その環境を喜びとし、常に変わらぬ 行動ができる心である。」と先生が教えてくださっています。その意味を、私は試合に挑む時に意識するようにしています。

そんなある日、日々の生活の中で、それを意識する事情が訪れます。それは、苦しいいじめを受けた時のことです。 その苦しみに負けて自分が折れてしまわぬように、常に平常心の志で自分から友達として接し続けてきました。すると少し時間はかかりましたが、いじめはだんだん消えてきています。

これこそ武士道のおかげだと、とても感謝しています。逆にそれを知らなければ、この山を乗り越えられたか、とても 不安に思います。こうやって、武士道の志を日々の生活に生かし、それを乗り越えた時に人としての成長があり、昨日 より今日、今日よりも明日の私があるのだと信じています。

とはいうものの、母によく「もっと大人の考え方で対応ができなくてどうするの?」と言われることも多く、まだまだ未熟な私です。自分で前へ進んでいるつもりが、後ろへ後ずさりしていることも少なくありません。それでも、私一人だけでなく、団員みんなで、日々、同じ志のもとで色々な経験を積み重ねられることが、私にとってのエネルギー源になっています。

このような方程式は、皆さんの団旗に掲げられている言葉からも、同じように導くことができるのではないでしょうか。

また、剣道の言葉の中で、私の一番好きな言葉は「先々の先」です。先生はよく「剣道は、勝ち負けよりも、自分の感性を研ぎ澄まして、全身全霊で先々の先を取りにいくことが大事だ。」とおっしゃっています。これも「平常心」と同じ ように剣道だけでなく、私の生活の中で生かしています。

一方で、先日、私たちの団の先生がハンガリーに行って剣道をしてきた時のことです。先生は私たちに、「貴方達は、剣道の技術を教えることよりも、海外の人々に剣道の志・武士道を教えるために、外国語の勉強をたくさんして欲しい」 とおっしゃっていました。

その時、ピンッときました。「平常心」や「先々の先」といった教えが、私の日常を助けてくれたように、それを世界の平和に役立てられるのではないか、と思ったのです。

今は、世界中で、国々の争いや民族の争いが起きています。そのために命をおとしたり、自分の国や家で普通に 暮らすこともできない難民の人達がたくさんいます。そんな人たちに私たちが日々学んでいるような「武士道の志」を 伝えることで、争いを減らしたり、解決したりできるのではないでしょうか。私たち一人ひとりの力はちっぽけであっても、今の情報社会をこういうことに利用して、その志を世界中の人達に伝えていけば、もっと大きな力になるはずです。

まず、自分がそれを信じて前に進めば、きっと何かが始まります。そして、その思いが世界中に伝わり、一人でも多くの命を救ってあげられたら、こんなに素晴らしいことはないと思います。その未来予想図を描きながら、今、こつこつと剣道を学び、その心を学び、人間として成長することに、努力し続けていきたいと思います。 そして、いつかみんなで、平和な世界へ羽ばたいていきましょう。

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